[ 目録 ]

授乳とくすり  薬をのまなくちゃいけないのか、きちんと判断することが、とても大事です。
            だいじょうぶだからっといって、服用しながら授乳していいというものではありません。
* 解熱鎮痛剤 *

○アセトアミノフェン
 商品名:カロナール、ピリナジンなど
 添付文書:記載なし 2001.7 

米国小児科学会では「通常、授乳婦へ投与しうる薬剤」に分類している。アセトアミノフェンの母乳中への移行は少ないことから授乳婦へ投与した場合でも乳児への危険性は低いといわれ、授乳は安全なようである。しかし、繰り返し服用中の授乳婦に関する情報は不十分であるので注意は必要である。注意することは、乳児は一般に体温調節能が不完全なため、過度の体温低下を起こすことが考えられる。その他、過敏症などがある。

・授乳婦(12人)がアセトアミノフェン650mgを服用したところ、母乳中濃度は1-2時間後に最高に達し10-15μg/mLで、
 乳汁の半減期は平均2.28時間であった。乳児の尿中からは、アセトアミノフェンとその代謝物は検出されなかった。
・授乳婦3人がアセトアミノフェン500mgを服用したところ、母乳中濃度は、2時間後に量高に達し、4.4μg/mLで、
 半減期は2.64時間(血漿中半減期は2.74時間)であった。
・授乳婦4人がアセトアミノフェン1000mgを服用投与したところ、母乳中濃度は最高で10.3μg/mL、平均で6.1μg/mL
 (血漿中濃度は4.9μg/mL)であった。


○イブプロフェン
 商品名:ブルフェンなど 
 添付文書:授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
       [母乳中へ移行することが認められている] 2001.4

米国小児科学会では「通常、授乳婦へ投与しうる薬剤」に分類している。イブプロフェンは半減期が短いこと、グルクロン酸抱合体に不活化されるため、授乳婦への投与に適しているだろうと推測されている。

・帝王切開後の痛みに対してイブプロフェン1回400mgを6時間ごと、24時間服用した2人の授乳婦の母乳中濃度は1μg/mL
 であった。
・授乳婦がイブプロフェン1回400mgを1日2回3週間服用したところ、母乳中濃度はO.5μg/mLであった。
・授乳婦6人にイブプロフェン坐剤200mgを2個投与したところ、母乳中濃度は、測定感度以下が1名、他は2-18時間後に
 最高濃度0.05-0.178μg/mLを示し、投与後24-48時間には母乳中より消失していた。
* 抗アレルギー薬 *

塩酸ジフェンヒドラミン
 商品名:レスタミン、ベナなど
 添付文書:授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。 [母乳を通して乳児の昏睡がみられたとの報告がある] 1998.6

 母乳中へ移行することが報告されているが、治療量投与(1回30-50mgを1日2-3回)では哺乳児に対して影響を及ぼすほど高濃度で移行するとは思われていない。製薬企業は授乳婦禁忌としているが、これは新生児や早産児は抗ヒスタミン剤への感受性が増大していることを懸念してのことである。

・授乳婦が、接触性皮膚炎のためジフェンヒドラミン50mgを3時間ごとに投与された。3回目の投与後、それまで異常のみられなかった生後5日目の哺乳児に昏睡状態が認められた授乳を中止したところ、24時間後に哺乳児の症状は消失した。[Rathnet B:L.Pediat.,30:583-602,1947]。
* 抗不安薬 *

ジアゼパム(セルシンなど)は、母乳中に移行し、乳児に眠気と体重減少をおこすことがあるので避けること。ロラゼパム(ワイパックス)とオキサゼパム(ハイロング)が母乳への移行は低いとされているが、乳児への影響が否定できるわけではないので、短期間の断続的な服用にとどめることが望ましい。
* 抗うつ剤 *

一般的に三環系抗うつ剤とその代謝物は、母乳へ移行する。またその濃度には相当の差があるといわれている。その中でわずかな知見として、アモキサピン(アモキサン)、トラゾドン(デジレル、レスリン)は母乳による影響の可能性は低いだろうと推測されている。しかし、報告例数がすくなく安全性が確保されているわけではない。
※ 喘息 ※

吸入薬剤は母体中の血中濃度がきわめて低値であり、乳児に問題となる量は母乳へ移行せず、安全に使用できる。テオフィリンが乳汁中へ移行するのは母親へ投与された量の1%以下であり、呼吸刺激作用を発現する量よりもはるかに少ない。経口あるいは静注のステロイド剤も低濃度が母乳中へ移行するが、乳幼児の副腎皮質機能に影響を及ぼす量には達しないといわれている。
※甲状腺機能亢進症 ※

プロピルチオウラシルは1日300mgまでは安全である。チアマゾールも1日20mgの服用でも問題がなかったとの報告があり、他国では授乳婦への投与は避けるべきだとはされていない。少なくとも1日1錠程度ならすべて母乳で哺育しても十分安全であり、その他の場合も、服用から8時間もあければ十分安全と考えられている。
2003/5/22