[ 目録 ]
SSRIについて

心の風邪〜うつ病〜


 うつ病は、心の風邪によく例えられます。だれでも一生に何度かかることがある一般的な病気です。風邪といっしょで放っておいても自然に治る場合もありますが、こじらせるととても厄介になります。風邪と違うところは本人が、とってもつらいのに、周囲が気がつきにくく、わかってもらいにくいということです。うつ病の症状は、「何をするのもおっくう」「物事にぜんぜん興味がもてない」「頭が回転しない」「いやなことばかり考える」「生きているのもつらい」「不安」などを考えてしまうだけでなく、不眠、食欲不振、胃腸障害、頭痛、体重減少、性欲減退などの体の不調があらわれます。軽いうちは、体の不調の方が強く感じることもあるので、内臓の病気と間違ってしまい、結局長引いてしまうこともあります。基本的には、休養を十分にとって、適切な治療をはやいめに行えば完全に治る病気です。

 今度、新しい選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が発売になりました。このくすりは、脳内のセロトニン細胞に選択的に働いて、セロトニンの量を増やすことによって、うつ病を治すくすりです。欧米では抗うつ薬の主なくすりとして、すでに使用されています。今までの抗うつ薬のように、口渇・便秘などのいやな副作用がなく、心臓に対する副作用もないことがないと言われています。このくすりの副作用としては、嘔気・嘔吐など消化器症状の症状が、飲み始めによく発現しますが、最初の頃だけなので、ふつうは服用を続けて7〜10日でなくなるのを待つことが多いようです。

 死んでしまいたい気持ちは病気のせいかもしれません。ぜひ医療機関に受診して欲しいと思います。
 あなたのせいじゃないってっ。
1999/5/16
SSRIとは?

 今日、うつ病の病因は、モノアミン仮説としてノルアドレナリン仮説やセロトニン仮説が定説となっており、脳内のノルアドレナリン量やセロトニン量が低下するとうつ病になると言われています。
 SSRIとは、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)の略です。本来、脳内に放出されたセロトニンは、セロトニン再取り込みポンプによって神経終末に戻り、その作用を終了します。SSRIは、このセロトニン再取り込みポンプに直接結合し、セロトニンが神経終末に戻ることを抑制して、セロトニンの量を増やします。

 SSRIは欧米では10年以上使用されており、その有用性と限界は認識されています。軽症から中等症のうつ病や種々の不安障害の治療のファーストチョイスになっています。

 現在SSRIは、フルボキサミン(デプロメール錠・ルボックス錠)、パロキセチン(パキシル錠)、サートラリン#、フルオキセチン#、シタロプラム#の5種類があります。
#:日本では未発売。

どんな作用があるの?

 SSRIは軽症から中等症のうつ病を中心に、種々の重症度のうつ病に対して効果があるとされています。そのほかパニック障害や強迫性障害、神経性大食症、社会恐怖(社会不安障害)、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害などに対しての有効性が検討されています。このようにSSRIは、不安とうつが基盤になる疾患全般をカバーする効果を示しています。現在、世界で使用されている5つのSSRIの間で抗うつ効果に差はないようですが、実際には薬剤に対する反応性は異なり、最初のSSRIが効かなかった場合、つぎのSSRIに42〜71%の患者が反応するという報告もあるようです。薬によって保険適応が異なりますので、確認してから使用しましょう。

○有効性:フルボキサミンでは、気持ちが落ち込む症状に対して約60%の方に改善が認められています。投与期間の経過を観察したものでは、4週目で70%、24週で80%の改善率でした。責めたてられているような症状に対しては、79%の方で改善が認められました。飲み始めて6週目から、特に有意な改善が認められています。

気をつけることは?

○飲み合わせ:デプロメール錠・ルボックス錠は、エフピー錠、メレリル錠と、いっしょに飲んでは、いけません。
   ※他の診療科に受診する際は、デプロメール錠・ルボックス錠を服用していることを先生に伝えてください。

○副作用:嘔気・嘔吐など消化器症状の症状が、飲み始めによく発現します。しかし、最初の頃だけなので、ふつうは服用を続けて7〜10日でなくなるのを待ちます。これは、SSRIを服用することによって、増えたセロトニンが作用するためで、そのほか、不安や、焦燥、アカシジア、不眠、性機能障害、頭痛なども起こる可能性があります。とくに性機能障害は大事なことですので、封印せず医師に相談して欲しいです。
 また、急激な服用の中止によって、めまい、睡眠障害、不安、嘔気、発汗等などがあらわれることがあります。服用を中止するときは、徐々に減量するようにしなくてはいけません。

 しかし、今までの抗うつ薬(特に三環系の抗うつ剤)のように、口渇・便秘などのいやな副作用がなく、心臓に対する副作用もないとされています。
さらに、運転などの精神運動機能にはあまり影響しないといわれています。
 

○飲むときの注意:デプロメール錠はかみ砕いて飲むと、苦味があり、舌のしびれ感があらわれることがあります。かみ砕かずに服用してください。

2001/1/10

文献:医学のあゆみ,195(8):527-531,2000